月曜日。
作業所は週始め。
まだ5月なのに、暑くて湿度も高い日であった。
春になって、通所する者も増えたのかと思っていたが、蒸し暑い今日もメンバーは多かった。
16時まで仕事をして帰宅。
50%でスイッチオンにしておいた除湿機が部屋干しの洗濯物を乾かした。
ギターも湿気に晒されないので安心。
パソコンを立ち上げ、テレビを点け、照ノ富士の相撲のまえに「ぴーぴー」と音がして、満水を知らせるランプが点滅した。
シンクに溜まった水を流し、ふたたびスイッチオン。
エアコンも「自動」で23度設定。
快適である。
さて、苦手な言葉は誰にでも在るものだと思うが、おれにとっては「ロックンロール」という語がそれです。
理由を考えているのだが、わかりやすくいうと、好きじゃない人がその語を多用したから。
それでおれ的には収まりがよい。
その人は内田裕也。
解りやすく威張る者が嫌いなんですな。
「いつもこればっかりでごめんな」
と言いながら『ジョニー・ビー・グッド』を歌う。
延々とそうだった。
延々を具体的に言うと40年以上。
芸がないことを売りにする。
そのへんが嫌です。
18歳のころ、日比谷野音で、当時としては規模の大きいコンサートを観に行き、いろんなバンドのパフォームを観た。
イギリスからジェフ・ベック。
アメリカからニューヨーク・ドールズ。
日本からカルメン・マキ&オズ。
他の演者は忘れているが、MCは赤いスーツの内田裕也で、「ごめんな」といって『ジョニー・ビー・グッド』を。
お約束のように。
それ以前から、いつでも「ロックンロールがどーたらこーたら」いっていて、うるせーな、と思っていた。
おれはバンド小僧だったが、十代の頃からブルーズマン志向だったのは、あの人のロックンロール話が好きじゃなかったから。
最近よくネタにするレノン&マッカートニーにおいても、レノンはロックンロールラーでマッカートニーにブルースを感じる。
あのステージで、ジェフ・ベックは『シー・ザ・ウーマン』を弾いたが、あの曲は初期ビートルズナンバーのなかでもひときわブルージー。
オリジナルを歌ったのはマッカートニーで、今日のネタと符合する。
閑話休題。
色川武大のエッセイに、ある店で井上陽水と飲んでいたら内田裕也が入ってきて、酒の癖が良くない裕也が陽水に説教を垂れていた的なことが書いてあり、
「ここで裕也を嗤うのは簡単である。裕也は旧式の不良で、いま、そういう雰囲気を残す者は貴重」
というようなことが記されていた。
おれは色川武大のような器の大きい人間ではないし、まー、色川は私淑する者のひとりであったが、このエピソードに怒りを覚えつつ簡単に嗤ったのでした。
さて、あのコンサートにおける、ジェフ・ベックの『シー・ザ・ウーマン』で、おれは一箇所のミスタッチを聴きのがさなかった。
赤いスーツの裕也は「カモン! カモン!」と聴衆を煽り、ステージ下まで走って行って踊り狂った連中のなかにはおれが所属していたバンドの面子も。
カルメン・マキは「今日はジェフ・ベックの次に弾いたうちのギタリストもプレッシャーに負けずに頑張りました」的なデリカシーに欠けるもの言いをし、余計なことを言う女だと不機嫌に。
当時のベックのあとに弾くギタリストなんてプログラム的にアンラッキーなだけだろ。
そっとしておいてやれよと。
というふうに、おれも器の小ささを隠さないでもいい歳になったのでせう。
ここまで。
明日も書きます。
以下に、ジェフ・ベック『シー・ザ・ウーマン』を貼り付けておきます。